母方の祖父のこと

私の母方の祖父は、私が2歳の時に亡くなりました。私に祖父の記憶はありません。
この祖父、とても子供好きで優しかったらしく、母は祖父に怒られた記憶がないと言っていました。
明治女の祖母の方が気丈夫だったようです。さてこの祖父にまつわる不思議な話を今日は書きたいと思います。

私が小学校低学年の頃、近所のスーパーの景品で当たった自転車がなくなったことがありました。
自転車には住所と、漢字で名前が書いてあったのですが、それを届けに来てくれたおじいちゃんがいたのです。
私ではなく、母がその時家にいたので、おじいちゃんと話をしたのだそうですが、

私の名前は漢字で書くと「みえ」と読めるので、「よしえ」と一発で読む人は今まで出会ったことがありません。

自転車を持って訪ねてきたおじいちゃん、「よしえさんの自転車をみつけたので届けに来ました」
と言ったのだそうです。おじいちゃんは、玄関の窓越しに用件を伝えるとさっさと自転車を置いて
立ち去ったのだとか。
わざわざ届けてくれたので改めて玄関を開けてお礼を言おうと出たところ、おじいちゃんの姿は見当たらず、

付近を追いかけてみたけれど、どこにもいなかったのだそうです。
「よしえって読む人、珍しいやん」と母は言っており、しかもその日は祖父の命日だったそうなので、
あれは祖父が姿を変えて私に自転車を届けてくれたのだと思っています。
母はすっかりそんな話を忘れていますが、当時は「あれは絶対お父さんやった」と言っていました。
私ではなく、祖父の命日を知る母が対応したというのも、祖父の粋なはからいだったと感じます。
「魂は死なない」ことを教えてくれたのだと。

コメント

タイトルとURLをコピーしました